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石川真佑は「燃えていた」 課題を突きつけられたネーションズリーグで得たものとは (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【雪辱を晴らしたセルビア戦】

 そして次のセルビア戦、石川は気力に満ちていた。イタリア、セリエAで磨いたブロックアウトさせる技術で得点を重ねていった。あるいは、ブロックに阻まれても、自ら粘り強く拾ってスパイクを撃ち抜いた。高速のバックアタックも、チームに選択肢を与えていた。長いラリーの末にレフトから撃ち抜くシーンもあった。最後は相手をサーブで崩し、レシーブで拾い、古賀のスパイクにつなげた。

 石川はチーム最多の17得点を記録し、ストレートでの勝利に貢献している。

「個人的に悔しさがあって、しっかり(力を)出しきる、というのだけ考えていました」

 試合後、石川はそう明かしていた。高さが使えないなら、タイミングをずらし、最後まで相手の動きを見極める。それで道は開ける。敵はブロックアウトに地団駄を踏む。

「自分が得点を取りきらないといけないし、そのパフォーマンスはもっと上げていきたいですね。今日は結果につながってよかったですけど、セルビアだけじゃなく、上位のチームと対戦してもやれるように。自分が結果を出すことがチームに大事になってくるので、よかったところはありますが、もう少しできることもあって」

 彼女は現状に少しも甘んじていなかった。

「カナダ戦で負けてしまったので、勝つ姿を見せられてよかったです」

 セルビア戦後、五輪出場を記念するセレモニーがコート上で行なわれるなか、石川はテレビのマイクに向かって言った。前で手を組み、邪気のない笑顔で答えた。しかし、雪辱を晴らした自負心も滲む。

「(石川が)怒っていた? どうですかね、そこはあまり興味ないんで(笑)。でも、燃えていたかな。集中していたんじゃないですか?」

 セルビア戦後、古賀はそう洩らしていたが、同じポジションの"同族"の言葉はひとつのヒントだろう。静かな怒りは心を燃やす。それはアスリートで言うゾーンに入ることにもつながる。トップ選手はその領域で、成長を超えた進化を遂げるのだ。

 石川は、そんなプロセスにあるのかもしれない。

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