『ハイキュー!!』日向翔陽役・村瀬 歩が明かす役へのアプローチ法と、初めて現場で会って「怖いなぁ...」と思った先輩声優 (2ページ目)

  • 坂口功将●取材・文 text & photo by Sakaguchi Kosuke

――そうしたアプローチをしようと思ったきっかけは?

村瀬 テレビアニメ『ハイキュー!!』のオーディション時に、「おれにトス、持ってこい‼」という大事なセリフが裏返ってしまって。それで練習していた際に、音響監督の菊田浩巳さんから「そこは裏返らないでできるといいね」と言っていただいて、「頑張ります」と意気込んだのですが......結局はうまくできませんでした。

 その後も、テレビアニメ『ハイキュー!!』の映像が先行で放映されることになり、その1、2カ月前に「持ってこーい!!」という声を入れる収録があったんですが、そのひと言だけで50テイクほどかかってしまいました。それが終わった後に、菊田さんから「あなたの声は暗く、冷たく聞こえる。自分が思っている以上に、もっともっとエネルギーを出していかないと、日向みたいなキャラクターに声が乗らないよ」と指摘されました。本当にありがたい言葉でしたね。

 僕の声質は、迫力は出やすいけど、日向のような明るくてワクワクしている感じは相当意識しなければ出ない。「日向に自分の熱量が追いついていない」と感じて、事前に体を動かすなどのアプローチをするようになったんです。

――そのギャップが埋まったのはいつ頃ですか?

村瀬 自分の中では、埋まっているのかはわかりません。日向という存在に少しでも近づけるよう常に意識して演じていますが、いまだに声がマッチしているのか不安になることもあります。アニメだと周りの声優さんの声に反応して、「あ、日向はこんな感じだ」と掴むことができるんですけど、ゲームやCMのナレーションなど単体で声を収録する時は「日向って、これでいいんだっけ......」と見失いそうになることもありますね。

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――自ら演じる日向のリスペクトできる部分は?

村瀬 "超"がつくほどのストイックで、自分が成長するためならとことんやる行動力もすごい。プライドも持っているでしょうが、悪いプライドではなくて、自分がやりたいこと、できないことへの悔しさが元になっているのを感じます。僕も演じることが好きですけど、彼の「好き」の域には到達していないと思いますし、「まだまだ自分は甘いな」と痛感します。

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