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春高バレー男子での「データバレー」に元男子代表・福澤達哉は驚き 一方で「大エース」の必要性も説いた (4ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

【今こそ求められる「大エース」】

――東北高校(宮城)も、春高の上位常連の鎮西との3回戦で熱戦を演じるなど奮闘していましたね。

福澤 かなり高さがある魅力的なチームでしたね。ただ、エースと周りの選手のバランスは、もう少しメリハリがあってもいいかもしれません。今大会は、エースがチームの一員として"収まって"しまっている高校が多かった。福井工大福井も同じですが、頼るべきところはエースに託し、それを印象づけた上で周りの選手をどう生かすのか。そういう戦い方が理想的だと思います。

 データバレーや組織的なディフェンスがトレンドになる中で勝っていくためには、そういったバレーができるようになった上で、エースの個の力が必要になるはず。私は、苦しいトスが上がった時に、すべてリバウンドを取りにいくのが正解だとは思っていません。時にはブロックを力強く打ち破り、相手チームの計算を狂わせる「大エース」が求められるようになるかもしれません。

――男子バレーは大学でプレーした後にVリーグへ、という流れが普通でしたが、高校卒業して間もなく西田有志選手や髙橋藍選手などが日本代表でも活躍したように、高校バレーのレベルがそこまで高くなっているということですね。

福澤 高校でしっかり戦術や技術を学んで、大学でフィジカルを伸ばすという傾向がありましたが、その垣根もなくなってきている。多くの選手が高い技術を持っている中で、違いを見せつけるためにはやはりフィジカルが重要になってくると思います。

 そういった点も含め、高校バレーのレベルが非常に高くなっていることの証明だと思います。いい流れですし、今後が楽しみですね。

(栗原恵が振り返る女子:プレーが「胸に残った」就実、大友愛の娘は「ずっと狙われていた」>>)

【プロフィール】
福澤達哉(ふくざわ・たつや)

1986年7月1日生まれ。京都府京都市出身。洛南高校時代に春高バレーに2度出場、インターハイでは3年時に優勝を果たした。卒業後は中央大学に進学し、1年時の2005年に初めて日本代表に選出。ワールドリーグで代表デビューを果たすと、2008年には清水邦広と共に最年少で北京五輪出場を果たす。大学卒業後はパナソニックパンサーズに入団。ブラジルやフランスのリーグにも挑戦しながら、長くパナソニックの主力としてプレーした。2021年8月に現役を引退して以降は、解説者など活躍の場を広げている。

著者プロフィール

  • 中西美雁

    中西美雁 (なかにし・みかり)

    名古屋大学大学院法学研究科修了後、フリーの編集ライターに。1997年よりバレーボールの取材活動を開始し、専門誌やスポーツ誌に寄稿。現在はweb Sportiva、バレーボールマガジンなどで執筆活動を行なっている。『バレーボールスピリット』(そしえて)、『バレーボールダイジェスト』(日本スポーツ企画出版)、『球萌え。』(マガジンハウス)、『全日本女子バレーコンプリートガイド』(JTBパブリッシング)などを企画編集。スポルティーバで西田有志の連載を担当

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