春高バレー男子での「データバレー」に元男子代表・福澤達哉は驚き 一方で「大エース」の必要性も説いた (3ページ目)
【組織的なトータルディフェンスに対抗するには?】
――対戦相手の福井工大福井は、決勝まで進んだのが初めてでした。どのように戦っていましたか?
福澤 しっかり準備ができていたと思いますよ。特に第1セットは、決勝まであまり使っていなかったパイプ攻撃を増やすなど、「自分たちから仕掛けよう」という意図が見て取れました。第1セットを福井工大福井が取っていれば、より面白い試合になったでしょう。
ただ20点以降、駿台学園がブロックやレシーブで対応してきたことで、福井工大福井のエース・堤凰惺(つつみ・おうせ)選手のバックアタックが決まらなくなった。駿台学園はバックライトのアタックに関してはブロックのマークが薄く、レシーブで対応していたので、あそこが1本通っていれば、その後の展開も変わったのではないかと思います。
――組織的なディフェンスの駿台学園が、攻撃の選択肢が多く決定力の高い福井工大福井を上回った形になりますね。
福澤 今は攻撃パターンもリアルタイムでデータが出てきますから、福井工大福井の選手たちのスパイクコースの傾向も駿台学園の選手たちに伝わっていたはず。バックアタックに対するディフェンスの精度が、セットを重ねるごとに上がっていきました。
他のチームは、もう一歩踏み込んでそこを突き破らないといけない。エースへのマークが厳しくなる中で、それを上回る引き出しを増やさなければいけません。組織的なトータルディフェンスに対抗するには、エースの個の力を高め、それを生かす戦い方を極めていけるかどうかがカギになると思います。
――昔は大学でもデータバレーを取り入れているチームは少なかったですが、今や高校でも当たり前になってきているんですね。
福澤 駿台学園がそういうバレーで連覇したことで、今後はどうなっていくのか。私も注目しています。
――駿台学園は優勝候補でしたが、他に福澤さんが注目した高校はありますか?
福澤 母校の洛南ですかね。久しぶりに東山を破っての出場ですから、多くの方が注目していたでしょう。
――具体的に、洛南高校のどこに注目していたんですか?
福澤 春高の本戦は早い段階で敗れてしまいましたが、東山との京都大会の決勝でも、サーブでの攻め方、セッターの組み立てもよかったですね。ミドルを絡ませながら、エースに頼る場面ではしっかり頼る。そのバランスが非常によかったです。エースの中上烈選手も、2年生ながらブロックを利用した決め方ができていて、将来性を感じました。
洛南に勝った大村工業(長崎)は、いいディフェンスで対応していました。長崎の高校は昔からディフェンスがいい印象がありますが、伝統なのかもしれませんね。
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