春高バレー注目校と選手は? 女子は「大友愛の娘」と3冠目指す名門、男子はⅤリーグに勝った強豪 (3ページ目)
【女子は下北沢成徳が3冠を狙う】
一方で女子の注目校は、名将・小川良樹監督が勇退し、伊藤崇博監督による新体制で再スタートした下北沢成徳。木村沙織、荒木絵里香、大山加奈、石川真佑ら幾多の日本代表選手を輩出し、今年度のインターハイと国体を制した超名門が3冠を狙う。
昨年の春高は東京都予選で敗れ、小川監督を春高で送り出すことができなかった。しかし今年度は、予選の準決勝で日本代表・秋本美空(2年/184cm・アウトサイドヒッター)を擁する共栄学園に勝ち、決勝でも八王子実践相手にキルブロックを連発。両試合とも、相手チームを全セット20点以下に抑える"完全試合"で優勝を決めた。
スタメンの平均身長は177.2cmと、全国屈指の高さを誇る。その中で攻撃の中心になるのは、父がミャンマーの元バレーボール代表のイェーモン・ミャ(2年/175cm・アウトサイドヒッター)だ。
家族は軍事政権下で紛争が起こったミャンマーから日本に逃れ、難民認定を受けている。「高校を卒業したら日本国籍を取得して、日本代表を目指したい」と力強く宣言する彼女の武器はパワフルなスパイクだが、「それだけでは上のクラスで通用しないと思う」と話すように、さまざまな形での得点に注目したい。他にも、対角を組む後藤ビビアン愛音(2年・172cm/アウトサイドヒッター)、180cm超のミドルブロッカートリオもいる隙のない陣容だ。
下北沢成徳に敗れた共栄学園も、東京予選の3位決定戦を制して春高の舞台で戦う資格を得た。前回大会で「元日本代表・大友愛の娘」としても注目された秋本は、U-18の世界大会でエースとして活躍し、シニア代表にも登録されている。
前回大会、「大友愛の娘」としても注目を集めた秋本美空 photo by 坂本清この記事に関連する写真を見る 昨年のインターハイには出場できず。チーム全体でそれを受け止め、春高にすべてをかける。前回、1年生として春高デビューを飾った秋本も「昨年は最後に上がってきたトスを打ち切れませんでした。今年は決めきります」と意気込む。中村文哉監督が「レシーブがよくなった。本人の希望で、いろんなプレーを任せています」というエースの躍動に期待がかかる。
大阪代表の金蘭会は、天皇杯のファイナルラウンド出場の経験を糧に、下北沢成徳の3冠阻止を目指す。
昨年度、1年生エースとして活躍した西村美波(2年/178cm・アウトサイドヒッター)は、インターハイでまさかの2回戦負けを喫したことで意識を変えた。それまでは3年生エースの上村杏菜(3年/168cm・アウトサイドヒッター)に頼る気持ちが大きかったが、上村がケガで不在の時期が長かった今季は「それではいけない」と自分で引っ張ることを決意。年度を締めくくる春高で優勝なるか。
今年は4年ぶりに、1回戦から有観客で声出し応援が可能になり、ブラスバンドも復活。代々木第一体育館が"揺れる"光景が戻ってくる。はたして栄光を掴むのはどのチームか。
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