男子バレー髙橋藍が「複雑な気持ち」だったイタリアでの起用法。それでも「身につけられることがある」と思考を変えた (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text & photo by Nakanishi Mikari

【苦境の1年目に学んだこと】

――1年目のセリエAのシーズンで経験したことは、今年度の日本代表でのプレーにどのように生かされましたか?

髙橋 代表メンバーの中でも信頼度が高まったような気がします。現在のフィリップ・ブラン監督も、しっかりアウトサイドヒッターとして使ってくれます。世界中からいい選手が集まるセリエAでの練習や試合を経験したことで、高さやパワーに慣れ、気持ちの余裕も出てきました。調子が悪い日でも、徐々にいいプレーを増やしていくことができるようになりましたし、能力は上がっている。それを証明できたからこそ築けた信頼関係だと思います。

――1年目は控えが多くても、日々の練習が力になったんですね。

髙橋 もちろん試合でいいパフォーマンスを発揮するのもすごく大事ですが、チームには海外の代表選手が多く所属していますから、高さやパワーだけでなく、各国の特徴的なプレーも間近で感じながら練習できる。そこで学ぶことがたくさんありましたね。

――昨シーズンにセリエAでプレーした西田選手は、現地到着後に「寂しくて1週間くらい泣いていた」とも話していました。高橋選手はどうでしたか?

髙橋 もちろん寂しさはありました。かなり日本と離れていますし、コロナ禍なので簡単に日本人に会うのも難しく、日本にも帰れなかった。でも、そんな状況の中でセリエAでのシーズンを過ごすことができた達成感は、間違いなく自分の人生にとってすごくいい経験になる、と思って耐えました。海外リーグでプレーする厳しさを知るだけでも世界が広がり、大きな財産になるだろうと。

――ちなみに、石川選手や西田選手とはシーズン中にやり取りをしていたんですか?

髙橋 していましたよ。日本を発つ前にも「現地では何が必要か」といったことも話しましたね。他にもアドバイスをたくさんもらいましたが、意外と自分はどこでも生きていけるというか、順応能力が高いんだなということにも気づきました。先ほど話した寂しさもありましたが、イタリアでの生活にも1カ月くらいで慣れた。言語の壁もありましたけど、心折れずにやっていくことができました。

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