男子バレー髙橋藍が「複雑な気持ち」だったイタリアでの起用法。それでも「身につけられることがある」と思考を変えた (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text & photo by Nakanishi Mikari

【石川、西田との対決で感じたこと】

――シーズンを通して控えが多く、シーズン最終盤にはリベロも経験しました。髙橋選手は中学生のときにリベロの経験もあるとはいえ、その起用に思ったことは?

髙橋 確かにリベロで起用されることは、複雑な気持ちにもなりました。でも、僕は12月からスタートしていたので、少しでも試合に出るということがまず必要だとも思っていました。リベロとして、レシーブ力はもちろんですが、リーダーシップなども身につけられるのではないかと思考を変えました。

 ただ、アウトサイドヒッターとしてプレーしていくためには、リベロでプレーしてもアウトサイドヒッターとしての能力を落としてはいけない。だから、普段はアウトサイドヒッターの練習をしていました。しかも現状維持じゃなく、少しでも能力を上げていかないといけない。それがイタリアでやっていくために必要だと感じました。

――石川祐希選手、西田有志選手との日本人対決もリベロでの出場でしたね。

髙橋 そうですね。石川選手や西田選手のスパイクを少しでも上げること、サービスエースを取られないことに集中していた。「守備力で負けない」という気持ちでプレーしました。

――次回は自分もアウトサイドヒッターとして対決したい、という思いはありましたか?

髙橋 もちろんありました。その日本人対決があるまでは、翌シーズンも海外でプレーするかどうか、あまり深くは考えていなかったんです。でも、「次のシーズンは早くチームに合流して、アウトサイドヒッターとして出られるようになって戦えることがベストだな」と考えるようになりました。

――チーム合流の時期は先ほども話に出ましたが、中央大時代の石川選手もイタリア1年目は全日本インカレが終わってからの合流でほぼ控えとして過ごし、やはりリベロでも出場しました。それ以降は開幕前にチームに合流し、徐々に主力として使われるようになっていきます。

髙橋 それは石川選手とも、「シーズンの最初からプレーすると全然違う」という話をしました。今シーズンはその大切さを感じています。開幕戦もすごくいい形で入れて、2試合連続で試合全体のMVPにも選ばれた。監督やチームメイトの信頼を得て、自分の最高のパフォーマンスを出すことができました。

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