男子バレー日本代表で注目の「石川祐希の対角」争い。世界選手権は切磋琢磨する「たつらん」が躍進のカギを握る (2ページ目)
それぞれの成長
予選最後のブラジル戦は石川・髙橋でスタートし、2セット目途中から髙橋に代わって大塚が投入され、そのまま最後までプレーした。大塚は予選を次のように振り返った。
「ワンポイントで出場すると、『その一瞬で何かをしなければ』という焦りのような気持ちがどうしても生まれてしまうんですが、長く出ると自分で取り返せるチャンスがあるので、心理的に余裕が出てきました。たとえスタートではなくても、『あとに大塚がいるから大丈夫だ』と思ってもらえるようであればいいですね」
ブラジル戦では、スパイクを打つフォームからジャンプトスに切り替える「フェイクセット」も見せたが、「あれはチーム全員ができるようにしていますし、アタッカーもそれに合わせて助走に入るようにしています。誰が入ってもやることは変わりません」と胸を張った。
大塚は現役の大学生(早稲田大4年)ながら、2021-22シーズンの「V.LEAGUE DIVISION1MEN」の途中から強豪・パナソニックパンサーズに参加。あっという間にチームの中心選手となって、苦しんでいたチームが3位に順位を上げる原動力になった。その経験は、代表でも生かされているようだ。
一方の髙橋藍(日体大3年)は、2021-22シーズンの冬にイタリア・セリエAのパドバにレンタル移籍。だが、なかなか出場機会を得られず、後半はリベロとしての出場となった。セリエAに挑戦した日本の男子選手がリベロで起用されることは"あるある"だ。かつては越川優、石川も経験があり、現役時代にセッターだった眞鍋政義(現女子バレー日本代表監督)も「リベロをやれ」と言われて1年で帰国している。
髙橋自身も課題として挙げている「前衛での攻撃の向上」は望めないことになるが、「もちろん悔しさもありましたけど、すべてをプラスに捉えていました。毎日の練習のレベルも高くて、得られるものはたくさんありましたから。紅白戦でも、ひとつでも多くスキルを磨こうと常に全力でぶつかった。その経験は得難いものでしたね」と振り返った。
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