若手の美人バレー選手として「客寄せパンダ」にされた齋藤真由美。同じく苦しんだ益子直美と取り組む「怒らない指導」 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • 松永光希●撮影 photo by Matsunaga Koki

――岩崎さんは「ペップトーク(ポジティブな言葉を相手に伝えて、やる気を引き出すこと)」を広げる活動をされていますね。

「ペップトークはもともと、アメリカで生まれたコミュニケーション術で、スポーツの試合前に監督やコーチが選手たちを奮い立たせる言葉かけです。引退後に岩崎さんとSNSでつながった際にこの活動を知り、『これだ!』と。『日本人の自己肯定感を世界基準にしたい』という理念が私にフィットしたんです。

 それでペップトークを学んで、選手が技や力を磨くように、指導者は言葉を磨かなくてはいけないと思うようになりました。努力を認めて言葉で背中を押して、結果を一緒に喜べるようになりたいと。そういった経緯があって、ペップトーク講師に必要な(※)ファシリテーターの資格を取ったんです。

(※)会議などの集団活動がスムーズに進むように支援する行為を、専門的に担当する人物。

 日本人は短所に目がいく人が多いように感じます。SNSなどでの誹謗中傷もその一例ですね。ペップトークは逆に、長所に注目して応援していく。マコさんはアンガーマネジメントの資格を取得していますから、ふたりで力を合わせていきたいです。感情のコントロールをすること、その上で言葉かけを変えていくことのコラボで指導法を改善させていきたいと考えています」

――現在は益子さんと一緒に、監督が怒ってはいけない大会も実施されていますね。

「マコさんは2015年にバレーの現場に戻り、淑徳大学バレー部の監督をされていましたが、『益子直美カップ』という監督が怒ることを禁止する大会をやるようになって。今年で8年目です。何年か前にゲストで来てくれないかとお声がけいただいた時は、母が肺がんになってしまい、その最期を看取るまで参加できなかったんですが、昨年11月に初めて大会に参加することができました」

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