突然の現役引退を発表したビーチバレーの坂口佳穂。「目標への『熱量』が失われてしまった」 (3ページ目)

  • 小崎仁久●取材・構成 text by Kosaki Yoshihisa
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 なかでも、2018年のお台場の大会(マイナビジャパンビーチバレーボールツアー2018第2戦東京大会)で勝ったことは印象に残っています。ツアーのスポンサーをしていただいて、所属もしているマイナビの社長や社員のみなさんの前で初優勝できて、本当にうれしかったです。

 それから一昨年の、グランフロントのファイナル(マイナビジャパンビーチバレーボールツアー2019ファイナル グランフロント大阪大会)での優勝も印象深いです。思い出すと、胸が熱くなります。こうして改めて振り返ってみると、たくさんの観客の前でプレーできたことも、そのなかで優勝できたことも、本当にうれしく思います。

 同じく一昨年、ワールドツアーで優勝(イスラエル・テルアビブ大会)したことも忘れられません。準決勝でロシアのチームと当たったのですが、以前そのチームには、韓国テグ大会の決勝で悔しい負け方をしていたんですよ。その相手に勝てたことは、自分たちの成長の証だと思えて、とてもいい思い出として残っています」

――現役生活7年間で、いろんな選手と組んで戦ってきました。鈴木悠佳子選手(34歳)、藤井桜子選手(31歳)、村上礼華選手(24歳)、そして今年の夏からは辻村りこ選手(24歳)。それぞれどんなパートナーでしたか?

「先輩の悠佳子さんと桜子さんからは、いろいろと教えてもらいました。でも、おふたりは大変だったと思います。バレーボールをずっとやってこられたおふたりが言うことを、経験のない私には理解できなかったり、当たり前のことができなかったり......。

 私に向き合うことで、エネルギーをたくさん使ったと思います。だって、言われるほうよりも言うほうが大変じゃないですか。一緒にやっていた時はいろいろと言われて、ただ怖かっただけでしたが(苦笑)、今では理解できるようになりましたし、おふたりには感謝しかありません。

 礼華とのチームの時は、コミュニケーションを学んだように思います。私が教えてもらったことをどう伝えたらいいのか、コンビプレーをどう合わせるか。コーチも含めてうまくチームがいくように考えていました。個人的には、とてもやりやすいパートナーでした。

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