ロンドン五輪直前、竹下佳江にまさかの事態。メダル獲得へ激痛を仲間にも隠し続けた (5ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari

現在はヴィクトリーナ姫路の取締役球団副社長を務める photo by Kimura Masashi現在はヴィクトリーナ姫路の取締役球団副社長を務める photo by Kimura Masashi 竹下は、北京五輪の控えセッターで、2011年にバレーを離れていた河合由貴に声をかけ、現役復帰させると共にチームのけん引役を託した。監督としてはチームを地域リーグ、V2、V1と昇格させた一方で、その間に2回目の出産も経験。産休を経てのリーグ戦は、週末に子供たちの面倒を自分の母親や、義母に見てもらい指揮を執っていたという。

「監督をしている最中の産休など、今までにはない形で活動を続けさせてもらいました。チームが、女性が働きやすい環境を整えてくれたこと、周りの方がいろんなことに理解を示してくれたからこそだと思います。私はコーチの経験がありませんでしたが、優秀なコーチがいて、安保澄さん(久光製薬と日本女子代表でコーチを経験)がGMに就いてくれて、そういった中でいろんな学びがありました」

 2020年3月31日には取締役球団副社長に就任。監督を退任した理由について、「子供との時間を増やしたいから」と笑顔で話した竹下は、今は営業マンと一緒に取引先を回ったり、会社経営のことを学んでいる最中だという。

「個人としての活動と併せて、バレーの普及活動も頑張っていきたいですね。昨年はコロナ禍で、一般のお子さんと直接コミュニケーションを取る機会がなく、リモートでバレー教室をするといった方法しかなかった。今後の状況はわかりませんが、子供たちが喜ぶ顔がたくさん見たいと思うので、何かしら方法を考えながら、今後につなげられるようにしたいです」

 自分の子供たちの成長を見守りながら、競技の普及活動も続ける。その竹下の姿が、女子バレー界の未来を明るくするだろう。

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