益子直美はパワハラ指導をなくしたい。「怒る」のではなく「考えさせる」 (3ページ目)

  • 村上佳代●文 text by Kayo Murakami
  • photo by Sunao Noto

 「益子直美カップ」第10回大会までに、パワハラをなくしたい

―― 今後、『益子直美カップ』はどう展開していくお考えですか?

「こういう取り組みはズルズルと引き延ばして続けるものではないと思うので、早く過去のものにしたい。だから、第10回大会までというゴールを最初に決めました。『監督が怒って指導する時代があったんだよ』『昔は練習中に水も飲めなかったんだよ』『まさかー!』というように、みんなで笑って話ができるような時代が早くきてほしいですね」

―― そうすると、あと4回ですね。

「今年はコロナ禍で中止になりましたが、1年延びたのでその時間を有効に使っていきたいと思います。あと、私が還暦を迎えるまでにはなんとか、という気持ちがあるので、ピッチを上げていかないと。全国のバレーボール大会で『益子直美カップ』のルールを取り入れる大会を増やしていきたいですし、同じような考え方の大会を他競技にも広げていきたいと思っています。すでにご相談もいくつかいただいているんです。

『益子直美カップ』が終了する目安の4年後には、スポーツでパワハラを受ける子どもがいなくなっていて、ニュースにもならない、そんな社会になっていてほしいなと思います。まずは、少しずつですが現場から変えていきたいです」

【Profile】
益子直美(ますこ・なおみ)
1966年東京都生まれ。中学時代にバレーボールを始め、強豪・共栄学園に進学。1984年の春高バレーでは2年生エースとしてチームを準優勝に導いた。高校3年時にバレーボール女子日本代表に選出され、高校卒業後はイトーヨーカドーへ入社。チームを日本一に導く活躍を見せたが、1992年、25歳の若さで現役を引退。以降は、タレント・キャスターとしての活動と並行して、小学生バレーボール大会「益子直美カップ」を主宰するなど、「怒らない指導」の普及に尽力している。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る