柳田将洋も驚いた「未知の体験」。Vリーグ復帰で見せた成長の証と存在感 (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 火野千鶴●撮影 photo by Hino Chizuru

 今季からサントリーの指揮を執る元日本代表の山村宏太監督は、困難な状況で初陣を飾ったことに「あんまり言うと泣いちゃいそう」と感慨深げだった。そして柳田の復帰がチームに与えた影響について、「マサ(柳田の愛称)のサーブや攻撃力は、もちろんチームにとってプラスです。でも、それ以上に影響があったのはマインドの部分です」と評価した。

 実際に今季のチームは、柳田やキャプテンの大宅真樹が中心となって、意見の交換会などを積極的に行なうようになったという。さらに柳田は、自らの"背中"でチームメイトを鼓舞した。

「彼はとにかくハングリー。与えられたメニューだけでなく、誰よりもたくさん練習するので、時には僕が『それ以上はやめたほうがいいのでは』と心配するくらいです。試合に出るために何が必要なのかを一番知っていて、そのための努力を惜しまない。それを見て他の選手たちも自主練習をするようになり、だいぶ練習量は追いついてきました。

 控えの選手たちには、もっと大きな影響を与えているかもしれません。海外リーグでプレーし、日本代表のキャプテンを務める選手がこれだけやっているのに、自分たちがやらなくていいのか。そういうマインドを作ってくれた。チームに化学反応が生まれていることが、試合を見た方にも伝わったんじゃないでしょうか」

 2003年から2017年まで、選手としてもサントリーを支えていた山村監督は、海外に渡る前の柳田とも一緒にプレーした。その時との違いについては、「全然違います。基本的な性格は変わらないけど、あの頃は子供の部分が残っていた。(2017年に)プロになって、後がない状況を自ら作ったことで覚悟ができたんだと思います」と話した。

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