新鍋理沙「あんなすごいスパイクは打てない」。攻撃より守備を選んだ転機 (3ページ目)
久光2年目のシーズンに最優秀新人賞を獲得 photo by Sakamoto Kiyoshi すると、翌2010―2011シーズンの開幕戦でスタメンを飾る。いきなりの大抜擢だが、先に挙げた狩野らベテランたちが引退するなど、チームの変革期と重なったことも大きかった。
「何人かの選手が引退されたので、『自分にもチャンスがあるかもしれない』とシーズン前の夏に頑張りました。リーグ中の全体練習では、控えの選手はボールを触る時間が短かったんですけど、練習する人数が少し減り、ボールを触る機会が増えたのでどんどん楽しくなっていって。それで、試合にも出たいという気持ちも強くなっていきました」
いざ開幕スタメンを告げられた時には、うれしさより「どうしようと不安でいっぱいになった」というが、本番では両チーム合わせての最多得点を記録してチームの勝利に貢献。試合までに、どうやって気持ちを切り替えたのだろうか。
「その年は開幕戦だけでなくシーズンを通して、ちょっと失敗しても、原さんや先野さんなどが『思いっきりやっていいからね』と声をかけてくれたんです。だから、無駄なことは考えずに思い切りできたんでしょうね」
そのシーズンは東日本大震災の影響でファイナルラウンドが中止になったが、チームはレギュラーラウンド3位。頼もしい先輩たちに支えられながら活躍した新鍋は最優秀新人賞を獲得した。
その活躍により、シーズン終了後にはシニアの日本代表に招集された。それまでアンダーカテゴリーでも代表の経験がなかっただけに「ビックリしました」と当時を振り返った新鍋だが、最年少メンバー(当時21歳)ながらチームに欠かせない存在となっていく。
(第3回につづく)
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