不妊治療、心臓手術、怒らない大会...
美女バレーボーラー益子直美の引退後

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

◆前編:国民的ヒロインになった益子直美は「試合が怖かった」>>

美女バレーボーラー益子直美の今 後編

 美女バレーボーラーとして人気を集め、日本代表でも活躍しながら、25歳で現役を引退した益子直美。その後は順調にタレント活動をこなしているように見えたが、決して平たんな道ではなかった。

 芸能界で生き残るための決意、結婚後の不妊治療、心臓の手術、独自の「怒らない大会」の開催。さまざまな経験を経てきた益子が、この先に描いているビジョンとは。

怒らないことをルールにした独自大会を開催している益子直美 photo by Tanaka Wataru怒らないことをルールにした独自大会を開催している益子直美 photo by Tanaka Wataru――現役を引退後、まったく考えていなかったという芸能界に進むきっかけは?

「引退してイトーヨーカドーでコーチをやっている時に、テレビ局の方からスポーツ番組の出演依頼がきたんです。現役時代には、試合後の挨拶もまともにできなかったから『無理です』と言ったんですけど、結局は会社命令で引き受けたんですよ(笑)。バルセロナオリンピック(1992年)がある年だったので、バレーだけでなく他のスポーツのレポートなどもやらせていただきました。

 そこで初めてバレー以外のスポーツに触れてびっくりしました。インタビューの答え方、競技に対する考え方、練習法などすべてが新鮮で、選手たちがすごく大人に見えたんです。バレー界にあった門限もなく、さまざまな世界の方と交流している姿を目の当たりにして、『なんてバレーボールは閉鎖的なんだ』と。もっと他の世界を知りたいと思って、1年でコーチをやめて芸能事務所に入りました」

――その後は、スポーツに関連していない番組以外も積極的に出演していましたね。

「基本はどんな仕事にもチャレンジするというのがモットーでした。CDや写真集を出したり、映画に出演したり、アナウンサー学校のようなところで勉強したり......。駆け出しの頃のお給料は、会社員時代のほうがよかったですよ。貯金を切り崩しながら、テレビに出るためのジャージ以外の服を買っていたのを思い出します。

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