エース石川祐希が帰国出場しても、インカレ優勝を逃した中央大の誤算 (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 その後はジリジリと差をつけ、25-20で1セットを取り返した。第4セットは中盤までシーソーゲームだったが、筑波大がサーブで攻め続けて18-12とリードしたところで、中央大の松永理生監督は石川を下げて第5セットに備えた。Ⅴ・プレミアリーグや国際大会でもよく見られるこの采配は、「次のセットに備えてエースを温存したほうがいい」「いや、緊張の糸を切らさないよう、点差のついたセットでも可能な限り出し続けたほうがいい」と意見が分かれるところだが、今回は裏目に出てしまう。筑波大の選手たちは、第4セットを取った勢いで第5セットもモノにした。

 中央大との試合ですべてを出し尽くした筑波大は、決勝で早稲田大にストレート負けを喫した。試合後、秋山監督は「本当に、漫画のスラムダンクのようになってしまいましたね。でも、学生たちは精一杯やってくれたので悔いはないです」とコメントを残し、晴れやかにインカレを終えた。

 一方、準決勝でのまさかの逆転負けに、中央大の選手たちはしばらく呆然としていたが、石川は「筑波大の粘り強さにスキをつかれた。明日は大学最後の試合なので、勝って終わりたい」と必死で気持ちを切り替えた。そして翌日の試合で東海大をストレートで下し、3位入賞を果たした試合後、顔を両手で覆って泣き崩れた。

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