木村沙織が涙で振り返った、激動のバレーボール人生と今後のビジョン (4ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 今後の日本女子バレーについては、「私は、全然(日本女子バレー界を)支えていなくて、逆に支えてもらってきたので、どうなってほしいと言える立場じゃないんですが......。スタッフや選手も新しくなって、女子バレーの形がまた変わってくると思うので、いちファンとして観ることを楽しみたいですね」と語り、後進の指導などについても「今は全く考えていません」と言い切った。

「私はスパイクがすごいとか、レシーブがすごいとか、何かが飛び抜けた選手ではありませんでしたが、運だけは強かったと思います。人との出会いの運、そしていざという時の勝負の運。その運の強さを、これからは家族に向けて使っていきたいです」

 そして何度も繰り返していたのは、「家族と過ごすことを大事にしたい」という言葉だった。「子どもが好きなので、2人か3人は欲しいですね。その子がバレー選手になって『オリンピックに出たい』と言ったら......。大変なことかどうかはその子にしか分からないことなので、やりたいならサポートするだけです」と、はにかんだ。昨年に結婚したことも引退を決意した要因であることを認めたが、「結婚していなくても引退はしたと思います。そうしたら『今後やりたいことは、婚活でーす!』って言っていたと思います」と、記者たちを笑わせた。

 この日、報道陣には水が配られたのだが、そのペットボトルのラベルには木村の手描きイラストが印刷されていた。飼っている3匹の犬と共に描かれた自身の顔の横には「またね」という言葉が添えられていた。

 すぐさま、「『またね』ということは帰ってこられるんですか? もちろん大歓迎ですけど」という質問が飛び、「あ、そういえばそうですね......。『さよなら』にしておけばよかったかな?」と最後もサオリン節で締めくくった。気が変わって、本当にひょっこりと帰ってきてくれたらいいのだが。

(後編につづく)

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