2017.03.20

Vリーグ男子・東レの優勝に
「世界の高さとパワー」を破るヒントがある

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari 坂本 清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

「東日本大震災で、実家が流され、両親も職を失い、もうバレーをあきらめようと思ったこともありました。今日の優勝で、あの時にお世話になった方々へ、少しは恩返しができたのではないかと思います」

 V・プレミアリーグで8年ぶり3度目の優勝を決めた東レアローズの司令塔、藤井直伸はそう言って胸を張った。6年前は大学生だったが、大学の理事長の厚意で学費を免除してもらい、バレーを続けることができた。トス回しは助っ人外国人にも頼りながら、ミドルを多用する独特のもの。昨季はそのトスを分析され、ファイナル3のフルセットの場面で6連続ブロックを食らい、3位にとどまった。今季はジョルジェフ・ニコラとミドルをうまく使い分けて、レギュラーラウンドもファイナル6も1位で通過した。


東レの優勝に大きく貢献したセッター藤井直伸「今季この優勝があったのは、各選手・スタッフがそれぞれの役割を全うしたことが一番ですが、なかでも、藤井と米山(裕太)の成長と活躍がもっとも大きな要因だったと言えるでしょう」

 小林敦監督も藤井の功績を称えた。

 前日のグランドファイナル1戦目をストレートで勝利したあと、東レは「今日は負けたつもりで明日の試合に臨もう」と決めたという。今季から導入されたゴールデンセット方式では、連日で試合を行ない、セット率、得点率にかかわらず1勝1敗になった場合は25点制の「ゴールデンセット」で勝負が決まる。