竹下佳江が見た全日本女子「木村沙織にすべてを背負わせてしまった」 (4ページ目)

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

―― 東京五輪に向けて、理想としてはある程度メンバーを固定して、4年間かけてチーム作りをすべきだと?

「そんな簡単にはいかないですけど......。日本は体格的に不利なので、何で勝つかといえば、緻密で細かいバレーをしていくことが重要になってくると思うんです。そのためには軸になる選手が絶対に必要ですので、そういったところからしっかり整えていくこと。それに、いま監督が代わる、代わらないで揺れていますが、監督が代わることによって、いままで作り上げてきたものがゼロになる可能性もあるわけです。ロンドンが終わってからの4年間は、トップチームとジュニアやユースの連携がうまくいっていました。でも、監督が代わることによって連携がゼロになってしまうと、東京五輪は何とかなったとしても、その先が見えなくなるのはちょっと怖いですね。そこはしっかりと継承していく必要があると思います」

―― 竹下さんは日本バレーボール協会の理事も務められています。その視点で考えると、ジュニア世代から育成していくことが大切だということでしょうか。

「連携ですよね。それぞれの世代では一生懸命やってくれていると思うんですけど、タテのつながりがなくなってしまうと、小さい枠のなかに収まってしまうので、それがちょっと怖いです。協会も若くて優秀な人材が携わってくれるといいなと思いますね」

―― 竹下さんの話に戻すと、これから先、いろいろな課題があると思いますが、まずはヴィクトリーナ姫路を一人前のチームにすることが第一の仕事だと思います。あらためてどういうチームを作って、どういう選手を育てていきたいですか。

「チームの成功はトップリーグで常に戦い続けることなんですけど、成功することは、バレー界にとっても明るい話題になると思うんです。こういう形もあるというメッセージ性を持たせる意味でも、まずはチームとして結果を出すことですね。そのためには、選手集めであったり、コーチの人選であったり、中身をしっかり詰めていかないといけない。先を見過ぎると、理想ばかり追い求めてしまうので、いまは現実と向き合いながらやるしかないと思っています。将来的には姫路のチームから代表クラスの選手を育てられたらいいですし、地元に根付いて『このチームを応援したい!』と思われるようなチームを目指さないといけないと思っています」

(おわり)

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