【バレー】ご意見番に聞く、4年後に向けての男子バレー再建策

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 北村大樹/アフロスポーツ●写真 photo by Kitamura Daiki/AFLO SPORTS

ロンドン五輪出場を逃した男子バレー全日本の植田監督ロンドン五輪出場を逃した男子バレー全日本の植田監督 男子バレーでは現在、ワールドリーグという年1回の国際大会が開催されている。五輪世界最終予選に敗れた日本もこの大会に参加、先週行なわれたドミニカラウンドは6戦全敗に終わっている。チームを率いているのは、予選後、協会に進退伺いを出した植田辰哉監督。メンバーも予選とほぼ同じで、ケガ人や、代表引退を表明している選手が出場しているのだ。少なくとも4年後のリオ五輪に向けた第一歩とはとても言えない遠征となった。

「大いなる無駄です。これでは選手のモチベーションが上がるはずがない。国際大会で実戦経験を積ませるために、若いメンバーを呼ぶべきだった。そもそも五輪予選で敗退したときのことを想定しなかったのが間違い。強化費の無駄遣いです」

 つくばユナイテッド監督兼理事長の都澤凡夫氏は、ばっさりと切り捨てた。都澤氏は筑波大学で、国立大学の中でいちはやく推薦入学制を取り入れ、過去5回、大学日本一の座を勝ち取っている。中垣内祐一、加藤陽一、石島雄介ら多数の全日本選手を指導。2005年に産官学共同プロジェクトとして立ち上げたつくばユナイテッドでは、小中学生の育成をはかりながら、大学生とプロ選手で構成するチームでVリーグに参加している。その都澤氏に、日本の男子バレーの再建策について話を聞いた。

 その前にもう一度、五輪予選での敗因を整理しておきたい。技術的には、サーブとサーブレシーブの問題があげられるし、戦術的には当初、植田ジャパンが標榜していた「速いバレー」が機能しなかった。中でも4年後を見据えたときに悲観的にならざるを得ないのは、最年少が25歳というあのメンバー選考が妥当だったのかということだ。

 植田監督はその25歳の福澤達哉と清水邦広の起用にこだわる一方、最後の会見では「大きな選手がいなかったから負けた、現有戦力ではよく頑張った方だ」とコメントした。だが例えば大学リーグには、出耒田(できた)敬、伏見大和という大型選手がいる。

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