錦織圭に「まじ強い」と言われてちょっと興奮した伊藤竜馬 「嫉妬とか一切なく」純粋に尊敬していた (2ページ目)
【圭も僕のことを認めてくれた】
「当時は、僕の1歳下に圭がいて、4歳上に添田くんがいた。圭が、日本のテニスどころか世界の歴史も塗り替えていくそのうしろで、僕は圭や添田くんに負けないようにがんばっていた感じでした。常に刺激をもらっていたなかで、まずはトップ100入りと、オリンピック出場を目標にしていた。ふたりに引っ張りあげられた部分はすごくあったと思います。
圭がトップ10や20を現実的な目標として目指していた時に、僕はまだ200位くらいでした。それでも高い目標設定ができていたのは、やっぱり彼が、身近な存在としていてくれたことが大きいと思います。日本人が成功している事実は、いいイメージを僕らに与えてくれました」
錦織の稀有な才能と意志の強さを知りながらも、決して特別視はしていなかった伊藤さんの視点。それは、「圭も僕のことを認めてくれていると感じた」ことも大きいという。
「そうですね、僕が強い選手に勝った時とかに、『たっちゃん、ヤバイな。まじ強いやん』みたいに言ってくれた。それがけっこう本気というか、正直に言っている感じが伝わってきたので、自信になりました。
当時の圭は、すでにグランドスラムベスト8とかに入り、トップの選手にも勝っていた。そのレベルの選手に『まじ強い』って言われたら......、ちょっと興奮はしましたね、やっぱり」
精悍な顔を柔和に崩し、伊藤さんはニコニコと笑った。
身近な存在の活躍は刺激になるが、ともすると、妬みの対象になることもあるだろう。ただ、伊藤さんは「嫉妬とかは一切なかった」と、どこまでも真っすぐに明言する。
「圭のすごさはわかっていたし、吸収できた部分もたくさんあったと思うんです。ふだんから圭の試合や練習を見るだけでも、僕としては、すごく楽しい感じでしたよ。その時はなんかもう、ファンみたいな感じでしたね。
もちろん、選手同士だしライバルでもありますが、そこは純粋に尊敬していた。彼の繊細な手のタッチやフットワークは、僕にはないものでしたから。
でも逆に、僕にはパワーがあったので、強いショットが打てた。そこに関しては、圭も『たっちゃんは、めっちゃ打てていいね』みたいな感じで言ってくれた。お互い『ないものねだり』ではないですが、自分にないものを認め合っている感じもあったと思います」
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