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35歳の錦織圭が今、スライスを使いたがっている理由「若い選手と打ち合い続けても、たぶん勝てない」 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【世界ランキングは64位まで上昇】

 試合後の錦織も、「最初から速かったですね」と、相手のスピード感に言及する。それは、単に球速だけではない。

「ほかの選手より展開も速いし、少しでも甘いボールを与えると振ってくる。その速さに、ちょっとついていけなかったですね。タイミング早く、あれだけの球を打たれると......」

 視線を落とし、錦織はポツリ、ポツリと言葉を紡いだ。

 思えば、シナーやアルカラスら「新世代」と対戦することが、ケガで戦線離脱していた間、錦織をコートに駆り立てた大きなモチベーションだった。今回のフォンセカとの対戦は、テニス界の勢力図を書き換える、新時代のテニスに触れる好機でもあったろう。

 今回のアリゾナ・チャレンジャーで錦織が求めたのは、ボールがラケット面に吸いつくような「感覚」と、「ランキングポイントを取る」こと。

 感覚は「少し戻った」と言った。ランキングは64位に上昇した。そして新時代のテニスと対峙し、そのスピードを肌身で知った。それら今大会で得たすべては、次につながる大きな収穫だ。

著者プロフィール

  • 内田 暁

    内田 暁 (うちだ・あかつき)

    編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。

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