錦織圭がケガ再発を恐れながらもウインブルドンに強行出場する理由 残された時間のデッドは9月末? (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【全仏オープンで掴んだ復調の手応え】

 ランキングを決めるのは、戦績に応じて得られる"ポイント"であり、現在100位の選手は608ポイントを保持している。グランドスラムの優勝者獲得ポイントは2000で、ベスト8が360、4回戦進出なら180ポイント。錦織は先の全仏オープン2回戦進出で50ポイントを獲得した。

 なおジャパンオープンでは、優勝者が500、ベスト4が180ポイント獲得。つまりは、複数のグランドスラムで4回戦やベスト8、あるいはツアーでベスト4以上に勝ち上がれば、限られた期間でのトップ100入りも可能ではある。

 先の全仏オープンでの経験で、錦織は、自分にはそれが可能だとの手応えを得られたようだ。2回戦では、現世界14位にして昨年のジャパンオープン覇者でもあるベン・シェルトン(アメリカ)と対戦。2セットを奪われた時点で棄権したが、いずれのセットも競った内容だった。

「けっこう、自信は持ってやれてますね。コテンパンにやられていたら一回、メンタルダウンしたと思うんですが、シェルトンには負けたけど、もうちょっと調子が上がれば勝てそうだなというところまで来ているとは思う」

 それが、パリの赤土から錦織が持ち返った肌感覚だ。

 現時点で、錦織がウインブルドンに出場できるかは、まだわからない。ただ、全仏でも得た自信と、身体の内から呼び覚まされる勝利への渇望があるかぎり、錦織圭はコートへと向かい続ける。

プロフィール

  • 内田 暁

    内田 暁 (うちだ・あかつき)

    編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。

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