錦織圭がケガ再発を恐れながらもウインブルドンに強行出場する理由 残された時間のデッドは9月末? (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【錦織圭が再びトップ100に戻るためには...】

 錦織が明かす。

「ほか(捻挫以外のケガ)はだいぶよくなってきて、ほぼ自分のなかでは、自信を持ってできている。そこの心配がなくなったのは、すごく大きい。出ないという選択肢まではいかないというか、治れば問題なく出られるし、あとを引くようなリスクということはないと思うんです」

 同時に、ポイントを短く終えられる芝ならば、工夫次第で勝機を見つけられるとの思いもある様子だ。

「ショットの質や精度とか、サーブもやっとちゃんと打てるようになってきた。あまりサーブがなくても、何とかできるのが唯一、芝。その面でも、まだクレーとかよりはチャンスあるのかなと思っています」

 芝は一般的に、サーブの優位性が高いと言われるコート。ただ錦織は、以前にも「スライスが有効だったりと、サーブにスピードがなくてもポイントが取れるのが芝」との手応えを口にしていた。

「練習でけっこういい感触はあって、芝に対応もできていると感じる。ちゃんとプレーできれば、チャンスあるのかなと思えている」とも言う。

「本当にちょっとの経験で、不意にパッと戻れたりもする。こうやって出続けることで、特に大舞台で少しでも勝てるようにできれば、まずはトップ100とかに戻ってこられるかなと思います」

 それが、錦織が抱える希望の源泉だ。

 度重なるケガにより、長くツアーを離れていた錦織の現在のランキングは401位。今回のウインブルドンには、48位のプロテクトランキングを用いて出場している。

 プロテクトランキングとは、公傷等でランキングを下げた選手への救済措置。錦織のエージェントによれば9月末まで有効で、9月25日に東京で開幕する木下グループ・ジャパンオープンにも、プロテクトランキングを用いての出場を予定しているという。

 プロテクトランキングが切れたあとに大会出場の可否を決めるのは、純然たる世界ランキングだ。グランドスラム本戦出場は100位以内が指標であり、ツアーを転戦するうえでも100位がひとつのボーダーとなる。プロテクトランキングが活用できる間に、錦織が「トップ100」を目指すのも、そのようなツアーのシステムのためだ。

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