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小田凱人が「熱い試合がしたい」と吐露した全仏OP 決勝戦で「逆に燃えた」まさかのシチュエーション (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【次の照準は世界1位でウインブルドン制覇】

 優勝者として、会見室で最も大きな"メインインタビュールーム"に現れた小田は、「去年、ここで『人生で一番うれしい日』と言いましたが、更新されましたね」と自分の言葉にうなずいた。

「ひとつのセットも落とさずに優勝できた。数字として、成長を示せた」ことが、その理由。

「グワッと来た。グスタボとの試合では絶対にそうなると思っていたし、本当にバチバチするような戦いができた」と、内容にも充足感をにじませた。

 昨年世界1位になり、そこからUSオープン初戦敗退も経験したこの一年を、どう捉えているか?

 その問いに小田は、「今のところ......完璧かな」とニヤリと笑い、こう続けた。

「パリ・パラリンピックに向けて時系列を並べていった感じでは、本当にいい感じだと思う。来週もフランスで大会があり、そこで優勝するとまた1位になる計算だし、それがクリアできると想定していた。ここでこうなって、こういう状態でパラリンピックに挑みたいという、自分で自分に設けてきた課題も乗り越えてきているので......すごく、順調だと思います」

 プロ転向前の15歳の日、小田は近い未来のロードマップを描いていた。

 終着点は、当時ヒューエットが持っていた最年少世界1位記録を更新し、19歳までに頂点に至ること──。

 実際には、想定をはるかに上回るスピードで夢へのロードを疾走し、そのつど、プランは書き換えられてきた。

 今、小田が描く青写真が映すのは、世界1位としてウインブルドンに臨む、1カ月後の自分。そして、約束の地であるパリのセンターコートで、金メダルを手にする自らの、誇らしげな姿だ。

著者プロフィール

  • 内田 暁

    内田 暁 (うちだ・あかつき)

    編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。

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