大坂なおみ、世界ランク831位からどう上がっていく? 元世界1位ナブラチロワの見立ては
全豪オープン大会2日目、センターコートの最後に組まれたナイトマッチ──。
カクテル光線に照らされたコートに、「Please welcome! Naomi Osaka」のコールが響く。
その声を合図に、沸き起こる拍手と歓声に包まれて、大坂なおみが2年ぶりにロッドレーバーアリーナに姿を現した。
スタンドは種々の光に彩られ、コートを囲むLEDパネルに彼女の映像が映し出される。それら目に映る光景を懐かしむように、彼女は顔を上げ、埋め尽くされた観客席をゆっくり見渡す。
このコートで2度トロフィーを掲げたかつての女王が、出産を経て1年4カ月ぶりにグランドスラムのコートに戻ってきた。
大坂なおみの全豪OPは初戦で幕を下ろした photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る「会場に来た時、ノスタルジーを感じたの」
大会開幕前の記者会見で、大坂はそう笑っていた。
懐かしい記憶をさかのぼった18歳の日──。大坂は予選を突破し、全豪オープンでグランドスラム本戦デビューを果たす。本戦でもふたつの白星を連ねて勝ち上がった3回戦では、センターコートでビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と対戦。元世界1位、当時の16位に完敗を喫するも、「すごくいい経験」を持ち返った。
そのグランドスラムデビューの3カ月前、大坂はシンガポールで開催されたエキシビションマッチ「ライジングスター」に出場していた。この大会は世界各地から将来有望な4選手を招待する、いわばWTAの若手プロモートイベント。エキシビションとはいえ、大坂にとってはプロキャリア初のタイトルを手にした、思い出の大会だった。
それから、8年──。
全豪オープン開幕前の練習時、大坂は空を見上げながら、「シンガポールから長い道を歩んできたな」と感慨深く思ったという。そして奇しくもというべきか......今回の全豪オープン初戦の相手は、あの時のライジングスターで優勝を競ったカロリーヌ・ガルシア(フランス)だった。
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著者プロフィール
内田 暁 (うちだ・あかつき)
編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。