大坂なおみの現状に「危ういものを感じる」。海外ジャーナリストが「引退もあるかも」と語った理由とは? (3ページ目)
それら重圧と注視を跳ねのけ、若くして4つのグランドスラムを獲得した大坂が、「天井知らず」の人気と市場価値を獲得したのもまた、必然だとマッカーベル氏は見る。
ただそのうえで、現在の大坂の立ち位置に危ういものを感じる、とも彼は言った。
「全米オープンの前哨戦のトロント大会で、なおみと話しました。その時に感じたのは、彼女がこの先、どの道に進んでも不思議ではないということです。今のような感じで続けていくのかもしれない。以前いたトップレベルにも戻れるだろうし、でも、引退もあるかもしれない。
それはもう予測不能で、ダーツを投げて、この3つのうちどこに刺さるかという感じでしょう。カギになるのは、彼女が本当にテニスを楽しめるかどうか次第だと思います」
なお最後に、マッカーベル氏が今まで取材してきたアスリートのなかで、大坂と似た存在がいるかどうか尋ねてみた。
「そうですね......体操のシモーネ・バイルズが挙げられるでしょう。彼女もパイオニアですし、東京オリンピックでメンタルヘルス問題を世間に問いかけた動きも似ています。羽生結弦はタイプは全然違いますが、メディアの注目度やファンの人気では似たものがあるのかもしれません。トラックランナーのアリソン・フェリックスも、多様性という意味でなおみと似たアピール力がありました。
でも......なおみと似ている人は思いつかないですね。彼女の世代で、成功とマーケティングパワーという意味で、彼女は突出しています」
今回もうひとり、大坂なおみについて深い見識を示してくれたのは、『ワシントンポスト』紙記者のエイバ・ワレス氏。黒人と白人の両親を持つ彼女は、ある種の共感を込めて大坂を取材してきた。
だからこそワレス氏は、最近の大坂の状況を心配する。
「今季の彼女はケガも多かったので、テニスの状態を正しく判断するのは難しいです。ただ......私は個人的に、テニスをすることが彼女の幸せであってほしいし、そうでないなら、もっと休養したほうがいいのではと思います。
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