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大坂なおみの聖火点灯後に海外記者が受けたショック。ネガティブコメントに違和感を抱いた理由 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「私が最初にナオミに注目したのは、2018年。マイアミオープンで3回戦に勝ち進んだ時でした」

 ワレス氏の目を捉えたのは、まずは純粋に、当時18歳だった大坂の将来性。加えて、大坂が有するカラフルなバックグラウンドやユニークな人間性が、スターの資質の照光として映った。

「アメリカのテニス界では、黒人女性は注目と期待を集めやすい状況にあると思います。白人のスポーツと見られがちなテニスにおいて、既存の概念を打ち破るスター選手の出現を求める機運があるからです。

 もちろん、ビーナスとセリーナのウィリアムズ姉妹の後継者が待ち望まれる風潮もありました。私自身、父が黒人で母は白人なので、ナオミに共感を抱いてもいます」

 どこかで自己を投影するかのように、大坂に温かい視線を向けてきたワレス氏。だからこそ、大坂の最終聖火ランナーを報じる日本の記事に、少なくない数のネガティブなコメントが寄せられたことに、ショックを受けたとも明かす。

 今大会が始まる前から、大坂と八村を注視したいと思っていたワレス氏は、あらためてこのふたりを介して東京オリンピックを見つめていきたいのだと言った。

「ナオミが聖火台に火を灯した時は、姪っ子の成長した姿を見るような気分になりましたよ」

 感慨深げにそう語るのは、英国『ザ・ガーディアン』紙のテュマーニ・カラヨル記者である。今大会では体操やサーフィンもカバーするが、最も取材歴が長いのがテニス。大坂のことは、彼女が16歳の頃から注目していた。

「若い頃のナオミは、ユーモアがあり、正直で、でもメディアや周囲に対して怯えたようなところもありました。そんな彼女が、時の経過とともに自分の意見をしっかり言うように変わっていった。

 彼女はいずれテニス界のトップ選手になるだろうと、以前から思っていました。ただ、スポーツの枠を超えて世界中が注目する、オリンピックの最終聖火ランナーになるとは......うれしい驚きです」

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