大坂なおみの聖火点灯後に海外記者が受けたショック。ネガティブコメントに違和感を抱いた理由
『ザ・ワシントンポスト』紙のアヴァ・ワレス記者は、「大坂なおみ3回戦敗退」の報を、埼玉のバスケットボール会場で知った。
ツイッターのタイムラインに流れてきた速報を見て、慌てて公式サイトをチェックする。そして事実を確認したあと、自らの考えを整理した。
1−6、4−6のスコアは、いささか意外ではある。だが、対戦相手のマルケタ・ボンドロソワ(チェコ)が今季好調の実力者であること、そしてなにより、大坂が背負ってきただろう重圧を思えば、十分に理解できる結果でもあった。
最終聖火ランカーに抜擢された大坂なおみこの記事に関連する写真を見る 大坂が開会式の聖火最終ランナーとして現れた時、ワレス氏の口からは「ワオ!」の声が漏れたという。ただ、その「ワオ」に込められた色調は、多彩にして複雑だ。
「まずは純粋に、うれしかった。ナオミが大役を務めることに、おめでとうという気持ちでした。
ただ同時に、心配でもあったんです。日本開催のオリンピックで、しかも『注目を集めるのが苦手だ』と言ってしばらく人目から遠ざかっていた彼女が、とてつもない期待と重圧を背負うことになったのだから」
ワレス氏が「大坂の聖火ランナー就任」を確信したのは、開会式が始まる2〜3時間前。当初、開会式翌日の第1試合に予定されていた大坂の試合が、急遽変更になると聞いた時だった。
「私は普段、NBAのワシントン・ウィザーズを取材しているので、ルイ(八村塁)が旗手をやると知った時は、すごくうれしかったんです。一方で、なぜ女性の旗手はナオミでないのだろうと、少々不服にも思っていました。
そこに来て、ナオミの試合スケジュールの変更があったのだから、彼女が開会式で何かするに違いないと思ったんです。すると日本の記者たちの間で、ナオミが聖火ランナーらしいと噂になっていた。まず間違いなく、そうだろうと思いました」
ワレス氏が大坂に対し、そこまで強い関心を抱くのは、大坂がアメリカテニス界で長く待ち望まれていた「マイノリティの星」であることも影響しているようだ。
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