錦織圭が口にした自信。全仏OP上位進出へ改善すべき点は2つある
いつもなら1年ぶりに帰還を果たす赤土のコートに、今年は7カ月で足を踏み入れた。
少年時代、錦織圭は目にしたセンターコートの美しさに圧倒されて、「ここで優勝したい」と夢見た。だが昨年、開催時期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で9〜10月に延期され、秋雨と曇天が垂れ込めるなか、やや暗く重苦しいローランギャロスとなった。
そして季節は廻り、初夏。今年は再び、5月のパリに「赤土の祭典」が帰ってきた。
全仏オープン初戦に向けて調整を続ける錦織圭この記事に関連する写真を見る 前週までは天気が悪く、気温も20度以下にとどまっていた。だが、会場にスター選手たちが集うのを待ち構えていたかのように、今週の上空には濃い青色の空が広がり、鮮やかな赤土とのコントラストを描く。
少年の頃から憧れていた全仏オープンのセンターコート。昨年から開閉式の屋根がつくなど多少は姿を変えたが、歴史に根差す美しさは少しも棄損されてはいない。
そのコートで錦織は、トッププレーヤーたちを相手にボールを打ち、開幕の日に向けて心身を精緻にチューニングしているようだった。
まとう空気が、昨年よりも軽い。予選を戦う日本人選手の応援に足を運ぶなど、リラックスしているようにも見える。ひじの手術とコロナ禍によるツアー中断からの復帰戦となった昨年の全仏時とは、まるで異なる佇まいだった。
「あの頃に比べたらテニスはいい位置にきているので、全然気持ち的には違います。あの頃は試合をするのがやっとだったので。自分の気持ちと調子といろんなものが重なれば、いいところに行ける自信はある。その意味では、去年の9月頃とは全然違うと思います」
同じコートにいた7カ月前を、彼は遠い昔のように振り返った。
錦織の言う「いい位置」は、49位というランキングではなく、今季の戦い......とくに全豪オープン以降のプレーにこそ克明に投影される。
今季の戦績はここまで10勝10敗だが、2週間の完全隔離など不運が重なったオーストラリアでの連敗を除けば、10勝7敗。その7敗のうち4つはトップ10に喫したもので、さらに10勝のうち8つはトップ50の選手から掴んでいる。
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