2021.05.30

錦織圭が口にした自信。全仏OP上位進出へ改善すべき点は2つある

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 いつもなら1年ぶりに帰還を果たす赤土のコートに、今年は7カ月で足を踏み入れた。

 少年時代、錦織圭は目にしたセンターコートの美しさに圧倒されて、「ここで優勝したい」と夢見た。だが昨年、開催時期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で9〜10月に延期され、秋雨と曇天が垂れ込めるなか、やや暗く重苦しいローランギャロスとなった。

 そして季節は廻り、初夏。今年は再び、5月のパリに「赤土の祭典」が帰ってきた。

全仏オープン初戦に向けて調整を続ける錦織圭全仏オープン初戦に向けて調整を続ける錦織圭 この記事に関連する写真を見る  前週までは天気が悪く、気温も20度以下にとどまっていた。だが、会場にスター選手たちが集うのを待ち構えていたかのように、今週の上空には濃い青色の空が広がり、鮮やかな赤土とのコントラストを描く。

 少年の頃から憧れていた全仏オープンのセンターコート。昨年から開閉式の屋根がつくなど多少は姿を変えたが、歴史に根差す美しさは少しも棄損されてはいない。

 そのコートで錦織は、トッププレーヤーたちを相手にボールを打ち、開幕の日に向けて心身を精緻にチューニングしているようだった。

 まとう空気が、昨年よりも軽い。予選を戦う日本人選手の応援に足を運ぶなど、リラックスしているようにも見える。ひじの手術とコロナ禍によるツアー中断からの復帰戦となった昨年の全仏時とは、まるで異なる佇まいだった。

「あの頃に比べたらテニスはいい位置にきているので、全然気持ち的には違います。あの頃は試合をするのがやっとだったので。自分の気持ちと調子といろんなものが重なれば、いいところに行ける自信はある。その意味では、去年の9月頃とは全然違うと思います」

 同じコートにいた7カ月前を、彼は遠い昔のように振り返った。

 錦織の言う「いい位置」は、49位というランキングではなく、今季の戦い......とくに全豪オープン以降のプレーにこそ克明に投影される。

 今季の戦績はここまで10勝10敗だが、2週間の完全隔離など不運が重なったオーストラリアでの連敗を除けば、10勝7敗。その7敗のうち4つはトップ10に喫したもので、さらに10勝のうち8つはトップ50の選手から掴んでいる。