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ジョコビッチ失格時は昼寝中。
泰然自若の大坂なおみが戴冠へ前進 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 一方、対戦相手のアネット・コンタベイト(エストニア)は、「私は遅い試合の経験があまりないから......」と明言は避けつつも、言葉の端に深夜の試合に向かう難しさをにじませた。

 立ち上がりのゲームで2度連続のダブルフォルトを犯したのは、そのような経験差から来るものだろうか。高い集中力で試合に入った大坂が、いきなりのブレークに成功した。

 理想的なスタートを切った大坂は、この時、自分に「ここからが大切だ」と言い聞かせたという。それは、10日前の対戦から得た教訓のひとつでもあった。

「あの時も最初のゲームはよかったけれど、そこから気持ちにムラッ気が出てしまった。だから今日は最初から最後まで、ポジティブにプレーし続けようと決めていた」

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 その誓いを実践し、以降のゲームでも大坂は固めた拳を振り上げ、自分を鼓舞し続ける。第1セットでは、最後のゲームもリターンから攻めてブレークした。

 この「リターンから攻める」ことも、大坂が2度目の対戦で心がけた勝利へのカギである。

「前回の対戦では、彼女のセカンドサーブの時での積極性が足りなかった。だから今日はミスをしても、攻めて行こうと思っていた」

 それはリターンの時だけでなく、この日の試合のあらゆる局面で完遂した姿勢でもあった。

「前回は相手に打ち合いを支配されることが多かった。今日はたとえミスしても、ラケットをしっかり振り抜き、試合の主導権を握ろうと思っていた」

 そのような大坂のプレーに、コンタベイトは重圧を覚えていたと認める。

「彼女がどんどんプレッシャーをかけてきたので、焦って攻め急いでしまった。サーブも含め、今日はほとんどの局面でなおみのほうが上だった」

 試合後の敗者は、勝者を称える言葉しか持たない。

 終わってみれば、大坂のエラーは相手より少ない18本にとどまり、ウイナーは21本を数える。

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