「自分で作っちゃおう」。内山靖崇は批判も承知でテニス大会を創設した (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文・撮影 text & photo by Uchida Akatsuki


 自身がラケットを握った原体験にも心を寄せて、内山は篤実な口調で大会設立のモチベーションを語り始めた。

 テニスが盛んとは言えない土地に生まれ育った彼は、子どもの頃にプロ選手が戦う姿を見た時、その迫力と真剣さに心を揺さぶられ、今の道を志す。

 だが、かつて自分が足を運んだ大会は、地元の町から消えてしまった。北海道のジュニア選手がハイレベルな試合を見る機会は、なかなかない。その状況を変えられないかと、これまで外側からいろいろ働きかけてみたが、事態が動く気配もなかなか見られなかった。

「ならば、自分で作っちゃおう」

 その純粋な思いこそが、すべての出発点である。

 大切な時を迎えている現役選手が、そんなことをする必要があるのか?

 そのようなやや批判めいた声があることも、彼は十分に承知している。だが「現役だからこそできること、やるべきことがあるはずです」と、内山は言葉に力を込めた。「トップ100」という地位にこだわったのも、「そんなことをやっている場合か」という声を封じるため。

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