デビスカップの変革に賛否両論。
ATPカップとの問題も抱えている (3ページ目)
そして、今年のデビスカップ・決勝ラウンドの賞金総額が、2000万ドル(約21億円)という破格の金額になったことも話題になった。日本代表の岩渕聡監督は、自分が選手時代と異なる好待遇に「金額の桁が違う」と目を丸くした。
賞金は、各国のテニス協会をとおして選手に分配支給されることになっている。ただし、デビスカップでは、ATPランキングに必要なランキングポイントは獲得できない。
一方、過密スケジュールの問題は解消されていない。
とくに、デビスカップ前週のツアー最終戦・ATPファイナルズに参加した選手には過酷だった。ナダルは、デビスカップの調整に2日しかなかったという。また、フランスダブルスのエルベール/マユ組は、日本対フランス戦のわずか2日前の11月17日に、ATPファイナルズの決勝を戦って初優勝した後、ロンドンからマドリードへ移動して11月19日に日本戦を戦う超過密ぶりだった。
デビスカップが、11月第4週に開催されたため、ただでさえ短いオフがさらに短くなってしまったのだ。
「デ杯をいつするのか難しかったと思う。オフシーズンがちょっと変になる(短くなる)。文句じゃないけど......」(マクラクラン)
また、ITFはオリンピックへの出場条件として、デビスカップでのプレーを選手に義務づけているが、最近では、ロジャー・フェデラーや錦織圭がプレーしていないことからもわかるように、トップ選手の間ではその条件が形骸化しつつある部分もある。
今回ジョコビッチは、2017年9月以来となるデビスカップでのプレーとなったが、2020年東京オリンピックは、来季の中で優先順位の高い大会のひとつであるとして意欲を示した。
「楽しみにしています。オリンピックは、いつも何か特別なものを自分にもたらしてくれる。メダル獲得のチャンスを得て、オリンピックでも成功できることを望んでいます」
実は、新フォーマットになったデビスカップは、その良し悪しだけに話は留まらない。2020年1月にオーストラリアで新設されるATPカップ(1月3~12日、シドニー&ブリスベン&パース)の存在が、スケジュールも含めて物議をかもしているのだ。
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