ジョコビッチ擁するセルビアに完敗。
予選敗退も日本が得たモノは大きい (3ページ目)
続くジョコビッチ対西岡戦では、西岡が驚異のコートカバー能力やカウンターショットで見せ場を作るも、実績と実力で勝るジョコビッチが手堅く勝利を母国にもたらす。この時点で両国間の対戦では、セルビアの勝利が確定した。
かくして、誰もが手探りで迎えた初のワールドカップ型デビスカップを、日本はラウンドロビン敗退という結果で去ることとなった。スケジュールやグループ編成に関しては、不運に泣かされた側面もある。
それでも岩渕監督は、このフォーマット変更を「ポジティブにとらえています」と明言した。
「1日で国と国の勝負が決まる短期決戦。ダブルスはとくに、このレベルになると数ポイントの差で決まるということもあり、このフォーマットのほうが格上に勝つ可能性があると思いました」というのが、指揮官の見立てだ。
また、選手たちにしても、フランスとセルビアという強豪と同じグループに入ったことで、かけがえのない経験値を得られたと声を揃えた。
エースの大役を務めた西岡は、「2日連続でトップ10選手とやるのは、僕自身初めての経験。そのなかでひとつ勝って、でもジョコビッチ選手には全然歯が立たず、やはり自分との差を痛感した」と現状を受け止める。
そのうえで、「すごくたくさんのことを経験できたデビスカップだと思うし、今回こうして伸び伸びプレーできて、チームの暖かさにも感謝します。僕にとって、いろんなものを得られたデビスカップだった」と表情に色を灯した。
敗戦を重く受け止めた杉田にしても、「年末に向け、自分のやるべきことが明確になった試合だった」と前を向き、内山は「トップレベルでの経験の少なさを痛感した。来年はこの差を詰め、チームにもっと貢献できるようがんばります」と表情を引き締める。
その想いは、「来年はもっと強いチームになる」と明言したマクラクランや、試合出場機会はないながらも、「他の選手の試合を見た経験は必ず役に立つ」と言ったダニエルにしても同様だろう。
賛否両論渦巻く今回のデビスカップであり、その論争はいまだ尽きない。
だが、少なくとも日本の選手たちは、かけがえのない経験と高い目的意識を抱き、視線を一層上に向けて開催地のマドリードを後にする。
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