ジョコビッチ来日の真の理由。悲願達成へ早くも「準備」を始めている (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 だからこそ、現在32歳のセルビアの英雄は、オリンピックの金メダルを「自身の残りのキャリアにおける、最大の目標にして悲願」だと定義した。

「北京で銅メダルを母国に持ち帰れたのは、私の誇りだ。だからこそ東京では、もっといいものを持ち帰りたい。自分はまだ若く、情熱も感じている。夢を実現できると信じているが、まずは一歩一歩進んで、いい状態に持っていきたい」。

 その「夢」の実現のため、彼は来年のオリンピックに向けて、早くも次のようなビジョンを抱いていると言った。

「まずは、暑さや湿度などの困難な現実を、精神的に受け入れること。そして次に大切なのは、事前の準備。健康状態を維持し、可能なかぎり早く東京を訪れて、万全の準備をしたい。

 オリンピックの時期は、ツアースケジュール的にも大会の多い時期なので、どこかのトーナメントを犠牲にしなくてはいけないかもしれない。1年後に何が起きるかはわからないが、オリンピックは間違いなく、私の最優先事項だ」。

 今回、東京を訪れた彼は、以前から「とても共感を抱き、尊敬していた」という日本文化に触れるべく、日帰りで京都を訪れ、牛若丸と天狗の伝承が残る鞍馬山にも登った。

 楽天オープンでは、勝つたびに新たに覚えた日本語を披露し、日を追うごとにさらなるファンを獲得している。

 世界1位が追い求める「夢」にして「悲願」への旅は、すでに始まっている。

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