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大坂なおみを襲った突然の痛み。
引きずる左足で全米OPは大丈夫か (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 ケガがどのような状態で、回復にどれほどの時間を要するかは、今後の診断を待つしかない。ただ、先に触れたように、USオープンに出場するという本人の意志は固い。テニスの状態や、何より精神面が上向きと実感できていたからこそ、なおのことコートへの想いが強いのだろう。

「この2大会、とくに昨日の試合はとてもハイレベルで、自分が望んでいたプレーができていた」

「今大会はサーブの調子がとてもよかった。初戦ではいくつかのダブルフォルトがあったが、それでも、エースやファーストサーブでのポイント獲得率は高かった」

 ケガでの棄権という失意の結果に終わったものの、それでも今大会から持ち帰るのは、いくつかのポジティブな手応えでもあった。

 今大会を迎えた時、大坂が掲げたテーマのひとつに、「テニスを楽しむ」がある。

 今年の全豪オープン以降に陥っていた、「結果にこだわり過ぎて、敗戦や失敗から学ぶ姿勢を失っていた」状態から脱するというのも、彼女が心がけたことだ。

 そのような彼女の、内面の変化や成熟を物語る印象深いやり取りが、敗戦後の会見で見受けられた。

 来たるUSオープンは、シーズン最後のグランドスラムということもあり、大会前に多くのスポンサー関連のイベントやパーティ等が行なわれる。ニューヨークの街の熱量を反映し、すべてが過剰なまでにきらびやかで、スター選手たちに向けられる視線は熱く、求められるノルマは多い。

「それら、ニューヨークで待ち受けるであろう"わずらわしさ"を、どう受け止めているか?」

 会見では、そんな問いも前年優勝者に向けられる。ただ、その時の大坂は、やや怪訝そうな表情を浮かべると、穏やかな口調でこう答えた。

「それらを"わずらわしさ"というのが、私には理解できない。だって、これは私の仕事だもの。単に、やるべきことが増えているだけ。ひとたび勝ち始めたら、やるべきことが増えていくのはわかっていた。だから、わずらわしいと捉えたりしていない」

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