錦織圭、2年ぶりのファイナルズ。39位から追い上げた力強さに期待大 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

 敗者が素直に称賛すれば、錦織も「取れなさそうだと思うボールも取れているので、動きはいいですね」と認め、その理由を次のように説明した。

「ケガしていた時期にたくさんトレーニングをしたし、トレーニング方法も少し変えていろんなことに取り組んだので、身体が強くなったのは感じます」

 およそ1年前に、新規性を求めて黙々と重ねてきたトレーニングが今、実を結び、ラストスパートを可能にした。レギュラーシーズンが終わった時の錦織のランキングは、昨年8月の離脱時と同じ、世界の9位である。

 2年ぶりに帰ってきたロンドンのツアーファイナルズで、錦織はフェデラー、ドミニク・ティーム(オーストリア)、そしてケビン・アンダーソン(南アフリカ)と同組に入った。過去の対戦成績では、2勝7敗のフェデラー以外は、ティームに3勝1敗、アンダーソンには5勝3敗と勝ち越している。直近の対戦でも、後者のふたりに勝っているのは、戦略面でも精神的にも、錦織にとって大きなアドバンテージとなるだろう。

 出場8選手全員を収めた自撮写真で、錦織の誇らしげな笑顔は、フレームの端に一番大きく写っている。

 チャレンジャーの初戦で敗れ、4月には39位までランキングが落ちたところから追い上げ、飛び込むように出場を果たしたツアーファイナルズ――。苦しみやもどかしさをも「楽しみ」乗り越えた復活のシーズンを、笑顔で終えることを予言するかのような、1枚である。

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