2018.11.10

錦織圭、2年ぶりのファイナルズ。
39位から追い上げた力強さに期待大

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

 仕立てのいいスーツに身を包んだ出場8選手が、各々の今シーズンを映すかのような笑顔で、ひとつのフレームに収まる――。

 写真のなかには、ひじの手術から見事返り咲いた世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)や、37歳にしてなお進化を続けるロジャー・フェデラー(スイス)ら馴染みの顔がずらりと並び、その背後では今回初出場の長身ジョン・イズナー(アメリカ)が、ひょっこり覗き込むように首を伸ばす。

ファイナルズ出場選手8人のセルフィーでシャッターを担当した錦織圭 ATPツアーファイナルズで、もはや恒例の微笑ましい光景。今年、その世界でもっとも豪勢な「セルフィー(自撮り)」のシャッターを託されたのは、2年ぶり4度目の出場となる、錦織圭だった。

 1年前のこの時期、彼はようやく、ボールを打ち始めたころだった。

 8月上旬に錦織の手首を襲った、腱脱臼のアクシデント――。その数日後には、早々にシーズンを切り上げることを発表する。戦線離脱したこの時、錦織のランキングは9位だった。

 MRI等による精密検査を受け、複数の医師の診断や助言も仰いだ結果、錦織は手術を回避し、ベルギーの医師のもとで保存治療する道を選ぶ。

 まずは、患部のみならず前腕の回転運動を規制するため、ひじまでギプスで固定した日々を過ごした。その後はベルギーで6週間、治療とリハビリやトレーニングに励んだ後、米国フロリダのIMGアカデミーへと戻る。そこでの練習も、最初は軽めのラケットで、柔らかいボールを打つことから始めた。

 11月下旬、錦織はチャリティイベントのために帰国し、久々にファンの前に姿を現した。だが、この時はまだ、ボールを打つ姿を披露することはなかった。復帰時期を問う声には、「1月のブリスベンを目指していますが、2月か3月になるかもしれません」と、まだ目処が立っていないことも明かす。

 ただ、錦織が、確信を持って口にした言葉があった。