2018.11.01

全米覇者なのにもっとも未完成。
大坂なおみこそ「絶対女王」の最有力

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 エリナ・スビトリナ(ウクライナ)の優勝で幕を下ろしたWTAファイナルズは、4年連続で新たな優勝者が誕生し、なおかつ、グランドスラムのタイトルに無縁の選手が戴冠するという終焉を結んだ。これらの記録は、現在の女子テニスの世界情勢を色濃く投影しているとも言えるだろう。

WTAファイナルズでも力強いショットを放って観客を沸かせた大坂なおみ ひとつは、絶対的な女王不在で、トップ選手、あるいは潜在能力を秘めた未完の大器や勢いのある若手には、誰しもビッグタイトルを取るチャンスがあること。

 さらには、底上げがなされている現在の女子テニスでは、トップ選手といえども楽に勝てる試合は少なく、ゆえにシーズン終盤では上位選手ほど疲労していることである。

 10月上旬の時点で年間ランキング1位を確定させていたシモナ・ハレプ(ルーマニア)が椎間板ヘルニアにより、今大会を欠場したのは象徴的。そのハレプの欠場によって繰り上がり出場を果たしたキキ・ベルテンス(オランダ)は、総当たりのラウンドロビンを勝ち上がって準決勝に進出している。

 その他の準決勝に進出した選手も、6位のスローン・スティーブンス(アメリカ)と8位のカロリナ・プリスコバ(チェコ)。優勝者のスビトリナも、大会出場時点でのランキングは7位であり、つまりは出場選手中、下位4人による争いとなっていた。

 そして今大会でもうひとつ顕著だった傾向が、最終セットにもつれ込む2時間30分前後の熱戦が多かったこと。ラウンドロビンから決勝までの全15試合のうち、フルセットは実に10試合を数えている。

 その理由をスビトリナは、「今季最後の大会で、誰もが負けたくない。リードされたときには自分に、『これが最後の試合かもしれないんだから、がんばれ! 休養がほしいなら、試合後に家に帰れるんだから』とハッパをかけるの」と笑顔まじりで説明した。