大坂なおみ、ついに「心技体」が揃う。
全豪で3回戦の壁を越えられるか (2ページ目)
果たして、不安そうに目を忙(せわ)しなく動かし、少し背を屈めるようにして会見室に入ってきた16歳は、「すぐさま記者たちの心を掴んだ」とイェン氏は笑う。
「記者のひとりが『あなたの名字と、出身地が大阪であることは何か関係あるの?』と尋ねたら、彼女は『もちろんよ。大阪で生まれた人は全員オオサカさんになるの』と表情をまったく変えず即答する。記者たちは『えっ、そうなの? でもそんな話は聞いたことがないし......』と困惑顔。それを見たナオミは、チャーミングに『冗談よ』のひと言。みんなそれで一気に彼女が好きになったの」
テニスは荒っぽいが、フォアハンドの威力はすでにツアー随一。性格はシャイだが、ユーモアのセンスとジョークの切れ味は鋭い――。そんなバラエティに富むユニークな人物像を、大坂なおみはイェン氏をはじめとする報道陣や関係者たちに、鮮烈に刻み込んだ。
その"始まりの日"から、3年半の年月が流れた。自己最高ランキングは、2016年10月に到達した40位。今年最初のグランドスラムである全豪オープンを70位で迎える大坂なおみを、「Aクラスの期待の若手」だとイェン氏は断言する。
「この数年間で彼女が一番成長したのは、『テニスのプレーの仕方』だと思う。すさまじいフォアハンドのショットを持っている。サーブもある。それら手持ちのカードをどう使うかが一番の課題で、その点に関しては昨年の1年間で特によくなったと感じた」
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