2018.01.15

大坂なおみ、ついに「心技体」が揃う。
全豪で3回戦の壁を越えられるか

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

「彼女はどこからともなく、突如として現れた」と、WTA公式シニアライターのイェン・コトニー氏は、その日の衝撃を振り返る。

3度目の全豪オープン本戦に挑む大坂なおみ 2014年夏――。米国カリフォルニア州開催のバンク・オブ・ウェスト・クラシック。予定調和な結果が並ぶ大会初日のプレスルームの平穏は、2011年全米オープン優勝者のサマンサ・ストーサー(オーストラリア)が予選上がりの無名選手に追い詰められたとき、たちまち波立ったという。

「ナオミ・オオサカのことを知っている人は、プレスルームに誰ひとりとしていなかった。資料を見ても、わかるのは名前と国籍と16歳だということくらい。その16歳がストーサーといい試合をしているというので急いで見に行ったら、まずはフォアハンドのすさまじさに衝撃を受けた。フットワークはバタバタしているし、サーブも時々とんでもないところに打つ。それでも彼女は、フォアハンドでストーサーを打ち負かしてしまった」

 衝撃のルーキー出現に記者たちは慌てて会見を要求するが、求めた側としても、相手の情報が何ひとつないのだから落ち着かない。イェン氏がWTAのメディア担当者に「彼女は英語が話せるの?」と尋ねると、返ってきたのは「もうすぐわかるさ」との回答。つまりはツアーの広報すら、オオサカが何者かを知らなかった。