テニス界の超秀才・ラオニッチが語る、錦織圭と男子ツアーの近未来 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 さらに(8月上旬の)ワシントン大会のときには、ほとんど毎日痛みを感じるようになった。手を切るような鋭い痛みで、冷やしても治療をしても消えてくれない。これは抜本的な処置が必要だと思って精密検査をしたところ、酷使の蓄積によるケガだとわかった。

 治療の第一選択肢は、手術だという。ただそれも、難しいものではない。関節部に浮遊している剥離した骨の破片を取り除き、アライメントをする。回復も早いので、シーズン終盤を戦い抜くのに十分な時期に復帰できると言われた。だから、手術こそが賢明な判断だと思ったんだ。

 まだ術後1ヵ月ほどしか経っていないので、時折痛みを覚えることもある。でも、手術の前に感じていた痛みとはまったく違うものだし、確実に回復していると感じているよ。

―― 今季はラオニッチ選手だけでなく、多くの上位選手がケガに苦しんでいます。何か原因があるでしょうか?

ラオニッチ 理由はいろいろあると思うけれど、個人的には、僕は現行のツアースケジュールに大手を振って賛同はできないね。もちろん、個人差は大きいと思う。たとえば僕のように220ポンド(約100kg)の体重の人間が11ヵ月間、常に飛行機などで移動を重ね、試合では毎日のように走り回るのは決して簡単なことではないんだ。

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