2017.09.04

「泣かない」を守れなかった大坂なおみ。
メンタルも技術もまだ改造中

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

大坂なおみは全米オープン3回戦敗退で16強ならず「たくさんの悔いが残りました。だから、取り乱して泣いてしまっているんだと思います」

 大坂なおみは、試合後のインタビュールームに座った瞬間から、みるみる目が真っ赤になり、質問に答え始めると涙があふれ出し、こぼれた涙を指で拭いながら言葉を詰まらせた。

 その涙は自分自身への期待が膨らむ中、思うようなプレーができずに敗れて、後悔ばかりが先立つ彼女の気持ちをすべて表しているようだった。

 大坂(WTAランキング45位、8月28日付け、以下同)は、US(全米)オープン3回戦で、予選勝者のカイア・カネピ(418位、エストニア)に、3-6、6-2、5-7で敗れ、あと少しのところまでこぎつけながら、昨年同様初めてのベスト16進出に手が届かなかった。

 1回戦で、ディフェンディングチャンピオンで第6シードのアンジェリック・ケルバー(6位、ドイツ)から勝利を挙げたことにより、大坂自身の心の中ではある変化が起こっていた。

「ケルバーとのプレーの後、少しストレスを感じていた。自分自身の中でより期待が大きくなっていった」

 ケルバーのようなトップ選手を破ったことにより、グランドスラムでもっと勝ち進めるかもしれないという自分への期待が生じた。まだ経験が浅い大坂にとって、それはプラスにもマイナスになり得る、非常に繊細かつ不安定な心の羅針盤のようなものだったのかもしれない。

 今回のUSオープンで、大坂は自分がポイントを取ると握り拳をつくりながら「カモン」と叫び自らを鼓舞することが多かった。それは普段オフコートではおとなしい大坂が、より強いファイターになっていくためにはいい傾向のように見えた。