「泣かない」を守れなかった大坂なおみ。メンタルも技術もまだ改造中 (4ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 テニスのゲームは、ただ力だけでポイントを取れる世界ではない。今は大坂がグランドスラムの第2週に残るための術(すべ)を、技術的にも精神的にも学び、成長していくための必要なステップを踏んでいるのだと解釈すべきだろう。引き続き吉川コーチは、大坂のさらなる進化を楽しみにしている。

「テニスの内容や質、ひとつひとつの技術は、1年前より明らかに成長している。次に組み合わさった時にはさらに大きなものになる。今の方向でより大きな絵を描いていけば、来年、結果として現れるかもしれない」

 USオープン開幕前の「とにかく泣かない」という誓いを、大坂は守ることができなかった。今はため息をつきながら、「でも、変えていければと思います」という前向きな言葉をどうにか絞り出すのが精一杯だった。

 だが、ニューヨークで19歳の大坂が見せた2度目の涙は、グランドスラムで優勝するために必要な試練だったのだと、いつか笑って振り返る日が彼女に訪れることを願いたい。

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