チャンコーチにスマッシュ連打。対策万全の錦織圭がマスターズに挑む (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 乾き切った空気のなかを浮遊するボールは、周囲に風力発電所が立ち並ぶこの地域特有の強風にもあおられ、予測不能な揺れ方をする。もちろん日中の場合は、まぶしい陽光が目にも入る。その困難な環境に慣れるべく錦織は、チャンが高々と打ち上げたボールを繰り返し、繰り返し、スマッシュで叩き込み続けた。

 ここインディアンウェルズのマスターズでは、過去13年間のうち、実に12大会までの優勝をノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ラファエル・ナダル(スペイン)、そしてロジャー・フェデラー(スイス)の3選手が独占してきた。加えて今年は、世界1位のアンディ・マリー(イギリス)も初優勝への大きな手応えを感じている。

 それら経験豊富な4選手が優勝候補の筆頭に挙げられる現状を踏まえて、錦織は言う。

「アンディとノバクのおかげで、テニス界そのもののレベルが高くなっている。僕たちにとってはタフな状況にはなるが、テニス界としてはいいことだし、自分も正しい方向に進んでいると思っている」

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