大坂なおみが18年間を振り返る「お姉ちゃんこそ最大のライバル」 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • TOBI●撮影 photo by TOBI

「このなかから、印象に残っている試合をいくつか選んでもらえますか?」

 そう頼むと、彼女はアーモンド色の瞳をクリクリさせながら、ページをめくり始めた。

「これは、私の初の公式戦。このときのことは、よく覚えているわ」

 彼女が真っ先に挙げたのは、ITFトーナメントデビュー戦。それは、ジャマイカで開催された賞金総額1万ドル大会の予選であった。

「出場サインをするその日に、雨が降っていたの。だからみんなで、おしゃべりをしていた。みんなが興味を持ったのは、私の年齢。『何歳?』と聞いてくるので、『13歳』と答えると、みんな不思議がっていたわ。だってITFトーナメントに出られるのは、14歳からの決まりだから。でも、試合に出るときには14歳になるから、私は出場できたの」

 この大会の開幕日は、10月15日。大坂の誕生日は、その翌日の16日。彼女の"テニスプレーヤー"としてのキャリアは、14歳を迎えたまさにその瞬間から始まっていたのだった。

「これは本当に、ドキドキした大会だったわ」

 そう言って大坂が次に目を止めたのは、デビュー戦からおよそ1年後の2012年9月、フロリダ開催の大会である。

「この大会でお姉ちゃんと対戦したから......たしか準決勝じゃなかったっけ? うん、やっぱりそうよね」

 毎日のように顔を合わせ、ボールを打ち合っていた姉との公式戦・初対戦。

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