かつての自分のような若手を叩く。錦織圭「トップ10」の流儀 (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 かつて錦織自身がそうであったように、そして今回対戦したハチャノフがそうであるように、若い時はまだまだ足らないところがある一方で、爆発力もあるものだ。錦織は若手選手との対戦が増えた今、その点は注意しなければいけないと自戒する。

 たくさんの経験を積んできた26歳の錦織は、冷静な試合運びで、ポイントを取るべき場面や大事なゲームで集中力を上げ、テニスのクオリティーも引き上げて、自分よりランキングが下位の選手の挑戦を退け、今季も手堅く勝利を重ねている。トッププレーヤーとして安定した成績を収めなければいけない錦織にとっては、とても大事な要素である。

 3回戦では、ニコラ・マユ(42位、フランス)と初対戦するが、2回戦とは一転して34歳のベテラン選手と戦うことになる。

「攻撃的で、ネットにたくさん出てくるし、いいサーブを持っている。タフな試合になるでしょう」

 気がかりなのは第1セット第9ゲームの後に、錦織はトレーナーに目薬をさしてもらう場面があったことだ。「半分目が見えなくて、瞼がどうにかしちゃってて、たまにボールが見えなかったんで、あまり集中できなかった」と語ったが、3回戦で症状が改善されているかどうか、キーポイントのひとつになりそうだ。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る