2016.07.12

ラオニッチが悪童マッケンローから学んだ
「対戦相手の嫌がること」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「3週間後に、また決勝で戦おう」

 3週間前に準優勝者スピーチで口にしたこの言葉は、予感を伴なう自信の表れだったのだろうか――。

 ウインブルドンに先駆け、ロンドン市内(クイーンズ)で行なわれた「エイゴン選手権」。その決勝戦を戦ったのは、アンディ・マリー(イギリス)とミロシュ・ラオニッチ(カナダ)のふたりだった。勝者は第1シードのマリーであり、客観的に見れば上位者が勝った順当な結果である。だが、ラオニッチはその結末に満足することなく、3週間後の再戦を切望した。

快進撃でウインブルドン準優勝となったミロシュ・ラオニッチ「3週間後」が意味するところとは、ウインブルドンの決勝戦だ。

「あのスピーチは、ジョークだったと思うけれど」

 決勝後の会見で記者に指摘されたラオニッチは、「冗談なんかじゃないさ」と即座に応じた。

 果たして予言めいた彼の言葉は、3週間後に現実となる。ウインブルドン最終日の日曜日――。決勝の舞台に立ったのはふたたび、マリーとラオニッチであった。

  そのラオニッチのファミリーボックスには、元世界1位のカルロス・モヤに、若き日のノバク・ジョコビッチを指導した名コーチのリカルド・ピアッチの姿がある。さらに、テレビの放送席で解説を務めるジョン・マッケンローも、芝シーズン限定で就任したラオニッチの臨時コーチだ。それら豪華なコーチ陣とともに、 ラオニッチは自身初のグランドスラム決勝戦へと勝ち上がってきたのだった。