シャラポワ戦も。全豪OPで日本女子テニス界が放つ「3本の矢」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

「もう、新しいシーズン、始まってますよ」

 やや苦み混じりの笑みを浮かべ、諭(さと)すように彼女は言った。土居美咲(世界ランキング65位)に、昨年末の優勝に関して改めてお祝いの言葉を述べたときのこと。彼女はやんわりと、過ぎ去った栄光にとらわれることを否定し、自分の目線はすでに未来に向けられていることを主張した。

初めてグランドスラムの大舞台に立つ日比野菜緒初めてグランドスラムの大舞台に立つ日比野菜緒 この土居を筆頭に、今回の全豪オープンには日比野菜緒(58位)、そして奈良くるみ(84位)の3人の日本人女子選手が、本戦ダイレクトインを決めている。彼女たち3人に共通するのは、みなWTAツアー優勝の経験があること。同時代に3人以上のツアータイトルホルダーがコートに立つのは、伊達公子や沢松奈央子が活躍した1990年代以来である。

 土居と奈良は、ともに1991年生まれ。ふたりは小学生のころから、時に対戦相手として、時にジュニア遠征へ繰り出す仲間として、そしてダブルスパートナーとして戦ってきた仲である。

 先に日本国内に、そして世界に名を知らしめたのは、奈良のほう。「天才少女」と呼ばれた彼女は、小学生や中学生の国内タイトルを総なめにし、ジュニアの国際大会でも頂点に立った。さらに奈良は、2005年のウインブルドン・ジュニアのダブルスで土居と組んで準優勝の好成績を残し、日本テニス界の注視を集める。この準優勝はもちろん、ふたりで等しく掴んだ栄冠だ。

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