2016年、世界と勝負する
日本テニス界の若手女子選手たち (5ページ目)
その伊達さんの活躍があるお陰で、「1990年代はすごかったよね」と言っていただけるわけですから、それは嬉しいですね。伊達さんは、その時代のすごさを実際にプレーで今の選手たちに見せられるのだから、本当にすごいと思います。
私もジュニアの選手たちと接するときは、プレーを自分で見せるしかないんですよね。ジュニアたちの試合会場に行ったときも、私が試合するのかと思われるくらい気合い入れてアップします(笑)。すると、「選手というのはこういうものなんだよ」というのを、言葉で言わなくてもジュニアたちは感じてくれます。
私がラケットを取り出した瞬間に「練習が始まるな」と思うし、私が靴ひもを結び始めたら「やるんだな」と気合いを入れてくれる――。言葉だけでなく、実際に見せられるというのは指導する上でよかったなと思うし、だからこそ伊達さんがコートに戻ってプレーを見せているのは、すごく大きい影響力があると思います。私が監督を務めたワールドジュニア日本代表の選手たちも、将来可能性のある子たちばかりなので、何年後かに彼女たちが出てきてくれるのではと期待しています。
今年は、すごく楽しみですよ。日比野さんが出てきたことで、これまでの構図に変化が見られました。新しい選手が出てきたことで、他の選手たちも「私だって!」と刺激を受けるでしょうし、また新しい選手が出てくるかもしれない。2016年に向けて、いろんな可能性が見えてきたと思います。
※世界ランキングは2015年シーズン終了時
【profile】
神尾米(かみお・よね)
1971年11月22日、神奈川県横浜市生まれ。母の影響で10歳からテニスを始め、東海大学付属相模高校卒業後の1990年にプロ転向。1992年の全豪オープンを皮切りにグランドスラムで活躍。1995年にはWTAツアーランキング24位まで登りつめるが、肩の故障により1997年2月の全日本室内テニス選手権の優勝を最後に25歳の若さで引退。現在はブリヂストンスポーツのイベントで全国を回るかたわら、プロ選手やジュニアの育成に携わっている。WOWOW解説者。
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